酸化療法 (Bio-Oxdative Therapies) とは

(渡井健男先生 2010年4月講演より抜粋)

酸化療法と欧米諸国の現状

 酸化療法とは

現在、統合医療やアンチエイジング医療として、日本では活性酸素を消去する抗酸化という方法が一般的です。

一方で、Bio-Oxidative  Therapies=生物学的酸化療法・酸化療法は、逆に体に酸化ストレスを与えることで、免疫機能や抗酸化機能を賦活させる医療です。一見、これまでの医療と矛盾しているように感じられますが、酸化療法はドイツやアメリカなどで盛んに行われています。

米国の統合医療や補完代替医療の代表的な学会ACAM(米国先端医療学会)には同名の講座があり、学術総会の時には必ずプログラムに組み込まれている必須項目であり、多数の専門家が実際に臨床で使用している、米国のCAM医療(補完代替医療)では一つの確立された分野になっています。


では、酸化療法とは具体的に、どんな医療なのでしょうか?

 

酸化療法には、以下などがあります。

・血液クレンジングなどに代表される採血した血液にオゾンを暴露するオゾン療法

・高気圧の酸素カプセルの中で、血中の溶解型酸素の増加や赤血球の酸素の乖離曲線を変化させ、末梢まで酸素を行き渡らせる高圧酸素療法

・UVBと呼ばれるphoto oxidation therapy(そのままUVBとすると紫外線B波と混乱するので、ここでは血液バイオフォトセラピーと呼びます)

・H2O2点滴療法
・DMSO点滴

 

 アメリカでのBio-Oxidative Therapies

日本では広まりつつあるオゾン療法ですが、米国ではFDAに禁止されていた経緯があり、全米の中で11の州でしか認可されておらず、医師の責任において行う医療となっているため、マイナーな治療です。一方で血液バイオフォトセラピーやH2O2療法が盛んに行われています。

日本でも近年盛んに行われている、高濃度ビタミンCは多くの統合医療・CAM医療の医師が行っていますが、それに比較して、H2O2点滴の方がはるかに歴史が古く、H2O2点滴は、気管支喘息、COPDなどの呼吸器疾患、心血管疾患、ウィルス性疾患の治療から、血液バイオフォトセラピーと組み合わせて、がんの治療にも使用されています。しかし、H2O2点滴は、取り扱いに、やや難しい点があるので、あまり日本には普及しなかった経緯があります。

 

 ドイツでのBio-Oxidative Therapies

米国とは逆に、ドイツではオゾン療法が保険診療の適用となっているためかなり広範囲に行われており、一方で近年、ドイツでも高濃度ビタミンC点滴によるがん治療は、急速に普及しつつあるようです。一方、H2O2の点滴療法は、ドイツではほとんど行われていません。

血液バイオフォトセラピーは盛んで、酸素化した血液に紫外線を照射するHOTや、オゾン療法と血液バイオフォトセラピーを組み合わせたダイナミック・フォトセラピーなど、血液バイオフォトセラピーを中心に、様々な酸化療法が組み合わされ、治療対象に合わせた、オーダーメイドな医療が行われています。


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